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ヤブヤンマ | ||
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山合いの休耕田で、昼日中、ヤブヤンマのオスに出会った。陽の光の下、まるでペンキを塗ったようにくっきりとした青がこの目に飛び込んできた。顔面の青が鮮やかなオスに比べ、メスは地味な色だが、たまにオスのように目の青いメスも現れる（写真）。 珍種ではないが、薮の中の古池に住み、夕方を中心に活動するので、人目に触れることは少ない。 小学三年の六月頃だったろうか。学校から帰ると、母から勉強を済ませたらいいものを見せてやると言われた。宿題を始めようと座ったら、部屋のタンスの上のちり紙に包まれた何者かが目に付いた。一刻も早くその何者かの正体を知りたくて、結局、僕は宿題も放り出してちり紙を手に取った。 何と、中には緑色のぬっぺりした目玉を持った、黒と黄色の縞々のヤンマが入っており、後で母から、今日オニヤンマが、裏庭から餌を撮りに飛び込んできたので捕まえたのだ、と聞かされた。 それが、ヤブヤンマのメスだと知ったのは、その数年後、写真集「日本のトンボ」を見た時だった。 |
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