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北方に分布するヤンマで、全国的にも、珍しい部類にはいる。オスは、ブルーのまだら模様が美しく、メスには、ブルー、緑色、黄色の個体がいる。
県内では、これまで確実な産地は知られておらず、秩父で何例か記録されているだけだった。僕は県外も含め、一度もお目にかかったことがなかったが、1997年秋、台風通過の翌日のこと。アカネを求めて県北のあたりを流していたとき、太身で小型のヤンマが道ばたの草地をゆったりと飛んでいるのを見つけた。
どう見てもギンヤンマではない。大きさからアオヤンマかなとも思ったが、秋にアオヤンマが飛ぶなどまずあり得ない。その内その個体は、小さな虫を捕まえて、その辺のアシの葉に止まった。早速、持っていたカメラのファインダーを覗き込むと、200ミリのレンズを通して、実に意外なトンボの姿が目に入った。それは、腹部のまだら模様からして、どうやらマダラヤンマのようであった。どうしてこんなところにマダラヤンマがいるのかと不思議に思ったが、前日の台風のことを思い出し、ひょっとして風でどこからか飛ばされてきたのか、という考えが浮かんだ。
本当の処は定かではない。実に不可思議なヤンマである。
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