オジロサナエ
僕がまだ小学校に上がるか上がらないかの頃、近所のガールフレンドの家に遊びに行った時のこと。
ガールフレンドの家の垣根の所で一匹のトンボを見つけた。そのトンボは黒字に黄色い縞があり、まるでオニヤンマをミニチュア化したような奴だった。それは、ずいぶんと弱々しく飛んだり、垣根に止まったりを繰り返していた。
早速家に戻って、その頃親から買ってもらったばかりの、小学館の昆虫図鑑を広げてみた。とにかく、そのオニヤンマのような縞模様を頼りに図鑑の標本写真を探した結果、それはマダラナニワトンボであるという結論に達した。図鑑に載っていた写真の中では、大きさや模様が僕の見たトンボに最も近かったのである。勿論、それが本当にマダラナニワトンボなら大発見だったろうが、今となっては調べる手だてもない。 今から思うに、ちょうどガールフレンドの家の横には「しょうじんば」があり、そこで羽化したオジロサナエだったのではなかろうか。それを裏付けるわけでもないが、熊谷市付近を流れる荒川でも本種が羽化するのを見たことがある。 華奢に見える割には長命なのか、はたまた羽化期間が長いからなのか、初秋の頃まで見かけることもしばしばある。
